2008年11月18日 (火)

馬鹿にしたものでもない金融サミット 世界同時不況は大底を打つかもしれない、といっても急反発はないだろうが

 今回の金融サミットは評価している人はいないようだ。シティの人員削減の拡大などで更に米国株は下げている。まだ下があるのかと不安が拡大しそうだ。どこまで続く泥濘ぞ、皆思っている。

 しかし、金融サミットも馬鹿にしたものではない。非常に大きな合意がなされたともいえる。まず第一は中進国まで含めた20カ国でサミットを開いたこと、第二はグローバルかつリベラル金融主義にストップをかけることを米国も認めたこと。

 これは米国を支えてきた金融によっての成長という仕掛けを世界経済が拒否したことを示すことになる。つまり、米国が世界の中心であった経済の枠組みが転換したということになる象徴だったのだ。

 目先の見える人は中進国に世界の中心がアジアなどに移動するというデカップリング論の言い換えを主張している。
 しかし、それもずれている。経済が米国帝国から周辺に拡散していくというのが正解だ。次の経済の中心はこれから競争なのだ。勝つのは中進国という大括りな論は浅はかだ。拡散の後、次の世界の中心が出てくるという歴史の転換点にきているのだ。候補には米国も含まれる。

 次の経済は金融やITではないことがはっきりしてきた。当面は次のエネルギーの関連が鍵になる。更に、食料の主導を握れるかどうかだ。といっても幅は広い。見極めがつくまで実体企業の中でM&Aが盛んになっていく。実体経済に金を回さなければならない。日本も次の経済への芽に金を回さなければ逆に取り残される。

 もう、ヘッジファンドがM&Aの主体になることはなくなる。金で金をふくらますことはもう限界に来ているのだ。政府は金融機関を支援するのではなく、直接に企業に融資できるように信用供与に力を入れなければならない。そして金融機関の架空バブルの債権を放棄させること、これをやれれば、一度に経済回復はしないが、このまま世界不況が泥沼化しないですむ可能性はある。日本は幸いに架空バブルに絡んだ債権は少ない。

 その意味では日本経済は輸出型大企業関連の業績低迷はあっても不況のそこを早めに脱出できる可能性はある。ただ、この処方箋が実行できればだが。

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2008年11月13日 (木)

実体経済不況と株価低落。二段下げを回避できるか。日本の進むべき道は

  中国は大規模な経済対策を発表した。この背景には中国内の輸出企業の減産強化による輸出の急減とこれに伴う原材料・部品の輸入急減、不動産価格の3か月連続の下落が背景にある。

   米国では店舗小売りの減速に加えてネット小売りも伸び率が急速に鈍化してきている。日本本国内でも景況感は急速に悪化している。
 次期米大統領オバマ氏はゼネラルモータースの支援について現ブッシュ大統領と会談を持ったと伝えられている。ここでGMが転ければ実体経済悪化の象徴として恐慌の引き金になりかねないことは前に述べた。その意味では党利党略とは言え支援の動きは間違いではない。
 しかし、支援してもGMの苦境脱出にはほど遠いのも間違いない。

 米国ダウも上がったり下がったりを続けている。日本の投資家は今で底打ちと見る人が3割以上いると伝えられているが、これは甘い。当面のそこは打っているが、二段下げの可能性はまだまだある。二段下げは急速な暴落ではなく実タイ経済の悪化を背景に上昇下降を通じて下げていくという過程を踏むこともある。

 この段階では小手先の経済対策では歯止めにならない可能性が高い。
 次の成長の展望をもたらすような芽が出てきて初めて大底が確認できる。それには次の産業への見通しと個人の懐がふくらむことにつながる制作が必要だ。

 ダム建設の中止があちこちで求められ出しているが、今回大津の大戸川ダムに対して滋賀、三重、京都、大阪の4県知事が共同で反対意見を表明した。国交省は治水が大事だとぐずぐず言っているが治水なら信玄堤など他の方法もあるはず。
未だに公共事業発想から抜けない国交省のような官僚が主導する対策では役に立たない。

 高額所得者から中低所得者への所得税移転、つまり金券ではなく所得税制の抜本的見直し。無秩序な投機ファンドの排除と実体企業のM&Aの支援。科学振興費の拡大。ソーラー発電、バイオ発電の推進による新エネルギー対策費の大幅拡大。エネルギー源確保のためのメタンハイドレート実用化の促進。産業構造を金融から環境、エネルギー産業、高齢者が働く場の創出、良質な移民の受け入れなどへ転換していくことを推進して産業構造を変換していくなどでは打つ手はまだまだある。

 政府が選挙目当ての景気対策に終始していても 、実体経済は変化していくだろうが、スピードをつけるためには国も変わらなければならない。

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2008年10月31日 (金)

とうとう米国もマイナス成長、特に個人消費は3.1%、株式市場はもみ合うか

 株式市場は日経平均9000円台を回復した。このまま反騰が続くと期待する向きも出ている。しかし、今日は米国のGDPが四半期ベースで-0.3%に陥ったと発表された。特に個人消費が悪い。さらに住宅需要も20%近いマイナスが続いている。

 各国の利下げ意向の表明や円安に向かったことで日本も各国の株式市場も小高くなっている。これで市場は回復の方向に向かうと期待する向きも多いだろうが、米国の実体経済のマイナス傾向が明確になってきたことが、ボデーブローのように効いてくる。

 株式市場に向かう個人も出だしてきているなどのニュースを流すところもあるが、今は株の大底だが安定はまだ早い。中長期で保有するまともな投資は結果が出るが、短期投資、信用や差益取引などに乗って利ざやを稼ごうという短期志向の投資は怪我をすことを覚悟してやってほしい。

 野村は強欲経済の戦犯のリーマンブラザーズの買収費用の償却で損失を出している。金融システムも回復後の姿はこれまでと変わるはず。リーマンの社員を高級で雇っても彼らのノウハウは次の金融システムでは役に立たなくなるだろうに。

 本来、株式は企業に投資するためにある。強欲投資は世界経済に何ら寄与しない。バフェット氏を見習ってほしいものだ。これからはエネルギー転換に投資したり、省エネルギー関連の企業に投資することで、経済の枠組みを変えていくことと福祉の向上を図ることなしには展望が開けない時代に来ているという認識が必要だ。

 なのに経済対策の中に乗用車の高速料金使い放題はないだろう。やるなら、業務車両だろう。

 個人には余裕があるなら麻生首相の言う3年くらいは持つつもりで次の経済をリードするだろう企業の株を持つことを勧める。

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2008年10月30日 (木)

株式市場は大底を打ったか 

 先週末から株が大暴落して、バブル崩壊後の安値を更新した株式市場も昨日の午後から本日にかけて反騰して日経平均8000円を回復した。さてこれで、大底を打ったと見て良いのかどうか。多くの人が半信半疑で様子見をしていることだろう。

 当面、株式市場は一進一退の動きはあるが当面の大底を打ったと見て良いだろう。あくまでも当面の大底という意味だが。

 そもそも、今回の暴落は、海外ファンドが金融不安によって資金繰りに詰まって打ったり、当面、投資から手を引いたりで手元資金を現金化する流れの中で、株式市場が世界的に低落する場行にあったのに加えて、急速に進む円高で、円高による相対的価格が比較優位にある日本株を売って現金を確保しようという金融事情が引き起こしたもの。

 まだ、日本経済が実態的に悪くなって不況になっているという視点での下落ではない。単に、金の流れの中での暴落だ。

 日本経済にとつては輸出企業の減益と円高による資源高騰から抜け出すことによるコスト改善とで、ある程度相殺される。景気刺激策の打ち方さえ間違えなければ、不況の影響は海外に比べて相対的には軽度なものにできる可能性がある。

 本当に怖いのは、心理的な萎縮と、中小企業への資金供給が滞ることだ。事実、リースですら新規リース案件には審査がおりにくいといった状況が出だしている。政府も金融機関対策だけではなくリースも含めて、中小企業支援は十分に行う必要がある。過去の例を見ても金融機関の資本を増強しても、中小企業には金が流れにくくなる状況はそれほど改善しない。むしろ、信用保証と中小企業向け金融機関に対しての支援といった形の方が有効だ。

 また、雇用確保に雇用支援金を出すなどによった方が心理的にも効くはず。

 といっても、株式市場が完全に大底を打ったという保証はない。現在のようにバブル反転による市場崩壊というのは、一番底、二番底といった形で次の暴落があることが多い。今回は世界的市場逆転である。二番底を見るとしたらそれは日本発ではなく、米国発になる可能性が高い。当面のポイントは大統領選とクリスマス商戦、GMへの支援がどうなるかだろう。ここで、悪い結果が出ると実体経済の悪化が本格的なものになるといった不安が出てくる。

 GM以外の企業も含めて金融機関ではなく実態の仕事をしている国際企業に破綻に類するのが出たらこれはえらいこと。今の状況なら、ファンドや金融機関などがおかしくなるというニュースは市場は織り込み済みで大きな心理的圧迫要因になる状況は通り越した。大事なのは金融ではなく実業だ。実業に注視すべし。

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2008年8月 8日 (金)

投機資金は規制する時代。未来への投資の時代。エネルギーを変える。

 石油が下落してきている。この一月で20~30ドルの大幅な下落だ。その報道の傍らで余り大きく取り上げられないが穀物相場も上げ幅の3割から4割の下落だ。
 石油相場下落の原因として景気の後退とか、石油需要の後退が言われる。しかし、穀物相場の下落には穀物需要の減退などは米国のバイオエタノールが採算割れで工場の操業が落ち込んだといった一部要因を除けば、食べなくなったといつた需要が大きく変変化する状況はない。

 石油、穀物両相場を含めて考えれば下落の主因は投機資金が規制なども在って逃げ出し始めていることだと言って差し支えないだろう。
 つまり、エコノミストが適当に理屈をつけて相場解説をしているが、投機資金が相場乱高下の悪役だということは明白。
  今頃になって、石油も110ドル程度までの下落を言う解説者が出てきだしたが、前回のこのブログで私の言ったことの後追いに過ぎない。
 今、本当に考えなくてはならないのは、投機資金をこのまま放置する事に意味があるのかということだ。

 投機資金の役割は相場の安定に寄与するということというのが経済学の建前だが、混迷の者役となり、世界経済、特に金持ちを除いた普通の生活者を脅かすものになってしまっている。そんな投機資金はいらない。放任から規制に変わる潮目だ。
 つまり、従来の経済学と経済の実態がかけ離れてしまっている時代に入ってきているのだ。米国流資本主義が正解ではなくなったのだ。

 これまでの世界は石油経済の成長期にあった。しかし、現在の世界経済の基盤である石油経済は成熟しきり、終焉に入りつつある。ある時代の経済体制はその末期には金融などの実体経済とは異なるものが主体のような状況になるのが歴史の循環だ。
 野放図に金融を自由主義の原則と言って放置して良い時代は過ぎ去った。これからは、金融もコントロールして、次の時代への準備に金が周り、円滑に経済基盤の移行が進むようにするときが来ている。
 金利政策に頼るだけでなく、投機資金を規制することが金融政策としてはただしい時代に入ったことを認識する必要がある。

 次の経済は何か。電気経済の時代だと予測する。多様なエネルギー源から電気エネルギーを経由して動いていく経済体制。それが次の時代だ。
 なのに日本政府は目先の対策しか打たない。石油が上がってなんとかしろと言われれば対策として高速道路料金を下げる。金がなくなれば、タバコ税など取りやすいところから取って、埋蔵金には手をつけない。
 次の社会の姿を描き、根本的に公共投資の方向を変える。そんな発想は官僚からは出てこない寂しい時代だ。間違いないのは石油エネルギーを基盤とした経済体制・社会体制に曲がり角がきているということだ。

 経済の基盤はエネルギーだ。人間の歴史はエネルギーの変換とともに社会形態を変えてきた。
 18世紀末から前々世紀にかけてのイギリスから起こった産業革命も薪炭から石炭へのエネルギー転換とともに進展した。
 前世紀、といっても20世紀はそんなに離れたものという感じはしないが、この時のエネルギー革命は石炭から石油へのエネルギー転換に伴って進展した。
エネルギーが潤沢に提供されることによって、そのエネルギーを利用する産業が興り、産業を動かす物流も発達した。
そして、その時代が、依存するエネルギーに問題が出てきたとき、次のエネルギーへシフトしていった。その結果、社会の姿は一変するということを人類は繰り返しながら発展してきた。

 薪炭から石炭へのシフトは蒸気機関という産業技術を支えるには薪炭ではカロリーが低いこと、それをカバーするには禿げ山が続出してしまうという環境破壊が引き起こされたことから急速に進んだ。
 石炭から石油への変換は、輸送のしやすいという石油の特性とこれを利用する内燃機関、石油化学という新技術の親和性が高かったこと、更に、イギリスのスモッグに代表される粉塵等の大気汚染という環境破壊が問題化されたことから急速に進んだ。
 同じ事が今起こっている。石油からエネルギーは変わる。産油国はもう次の時代を予測して、実体性のある投資を始めている。
 日本はこのままでは負ける。

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2008年7月16日 (水)

石油経済の終焉。環境も経済問題。投機資金バブルはいつまでつつくか

 石油市況は高騰を続けている。
 西暦2000年に40ドル/バレルを突破した原油価格はとうとう140ドル/バレルを突破した。

 昨今、日本国内もガソリン価格の高騰で、電気自動車への切り替えを行うと発表する郵便会社、車の利用の見直しに焦る市民の姿などの報道が続いている。ガソリン価格200円時代の到来も離島では現実のものになってしまった。
 漁業では一斉休業も行われた。

 問題は石油だけではない。米国政府のエネルギー安全保障と温暖化対策を狙ったバイオアルコール補助金政策を引き金にトウモロコシ、麦、米へと次々に投機対象が広がってしまった穀物相場の高騰はより深刻な問題を世界経済に突きつけている。最貧国では日々の糧を確保することすら難しいところまで追い詰められてしまう。暴動も起きるだろう。

 野放図な米国型金融資本主義の暴走が主犯である。
 はっきり言って、今の急騰自体は投機バブルである。
 米国の住宅ローン債券から逃げ出した投機資金が一度に、石油続いて穀物市場になだれ込んだときと、市況暴騰は完全に一致している。
 まさに池の中の鯨で小さな市場に消化しきれないほどの投機資金がなだれ込んで起こされたことは明白だ。

 こんなバブルはいつまでも続かない。そのうちはじける。それは世界的スタグフレーションを伴う不況の予測が強まってきたときだろう。若しくは、米国の抵抗で難航している投機ファンド規制の導入が各国の合意が進んでくるといった報道が見られる時だろう。
 その兆候はファニーメイなどの米国政府系住宅金融2社への米政府支援が発表したにもかかわらず世界の株式市場は下落しているなどがその兆候といえる。

 バブルがはじければ3割は下がる。まずは100ドル水準にはなるだろう。
 だからといって、石油価格が1年前の50~60ドル台に戻るわけではない。
当面、中国、インドでは石油輸入が拡大し続けるだろうし、その補助としての石炭利用や穀物バイオエタノールも穀物市況の混乱から代替の本命にはなり得ない。
原子力利用も安全性ではなく、安全保障面からも、使用済み核燃料の処理の難しさからも主役にはなり得ない。長期的には上がっていくのは間違いがない。
エネルギー価格の高騰は世界経済に大きなコスト圧迫要因になってくる時代に突入したといっていい。

 環境問題中心の洞爺湖サミットも本来は環境と経済の関係を見直す機会だった。

 しかし、結果は具体性の示されない環境対応の先進国と新興国の妥協的メッセージの発信だけで終わり、本質的な世界経済の問題には触れられなかった。
 

 それでも、世界経済は、エネルギー体系の転換を行わなければ持たなくなってしまった時代に入ったことを認識しなければならない。
 にもかかわらず、政治家も役人も本質より形。言い訳ができればそれでいいと思っているのではないのか。

 投機規制に関しては金融庁はポイズンピルの審議会のメンバーを産業界の3名をやめさせてファンド側の人間を押し込んで思うような答申をさせようとしている。何が審議会だ。審議するのではなく官僚の作文に沿った答申をさせることしか考えていない。

 ただ、時代は政治家や官僚の作文の範囲を超えて動いていることを信じたい。

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2008年5月12日 (月)

ヘッジファンドの罪悪。石油高騰、穀物高騰、そしてスタグフレーション

 1年以上前から「スタグフレーション」の可能性を指摘していたが、ここに来て現実の可能性として議論する人がぼちぼち出てきた。
 まだ、賛否両論だが、ようやく、スタグフレーションの危険性が認識されてきたようだ。「スタグフレーション」というのは前にも述べたが「不況なのに物価は上がる」という現象だ。
 つまり、石油と食料の世界的な市況上昇で、物価が上昇しているように見えているが、企業や消費者の手元に残る「付加価値」は依然マイナスという状況を示している。
実需に基づかない石油市場、穀物市場などの高騰は、企業収益、個人消費を圧迫する。
 少しでも舵取りを間違えるとスタグフレーションは現実のものとなる。

 不況になったら石油市況はある程度下落するが、今の石油市場では進行市場の実需とサブプライムが破裂して行き場を失った投機資金の流入で昔のような50ドル割れは望めない。80ドル割れも難しくなった。
 ことは石油だけではない。バイオ燃料需要から豊作でも需給が悪化して高騰したトウモロコシに始まり、そのあおりを受けて作付減少した大豆、世界的需要の盛り上がりと天候不順による小麦や米といった食料の高騰の背景に、ファンドの資金流入による投機的高騰があることは周知の事実。
 投機資金は市場規模に対して大きすぎて流入額が巨額にのぼるため、暴騰するのは当たり前の話。

 米商品先物取引委員会は穀物市場のこういう事態を防ぐために建玉に元々枠をはめていた。ところがヘッジ取引はこの規制外だったのが今の事態を招いたといえる。
 商品でも金融でも「先物市場」は市場の価格安定化機能を担う目的で設立されているが、池の中に金融市場からあふれ出した巨額ファンドがクジラのように流入して水位があっという間に上がってしまったのだ。もはや本来の価格安定化機能が壊れてしまっているのだ。
 米国は「建玉規制」の例外を外してヘッジファンドを規制しようという動きもあったが見送った。建玉を締めると、今度は暴落してしまうことが懸念されたからだという。
 暴落しても泣くのはファンドに金を投機しているものだけだ。その中に米国年金資金もあるというが年金は庶民のため。その金が庶民を苦しめるという本末転倒。暴落しても、一過性で、その後はクジラが池の中で暴れ回れなくなれば長期的には良質な市場が形成される。

 2008年2月15日の日経は「米サブプライム問題波及の仕組み」という解説図を米国の景気対策法の成立解説コラムに載せているが、「金融商品」の世界だけの問題のような図になっている。金融商品だけの問題なら投資家だけの損失であり、世界各国政府が取り組む必要はない。
 問題は「米サブプライム問題」が、実体経済にどう波及するか、つまり世界不況の引き金になるかならないかという問題だという認識が欠けている。
 これについては「金融不安の高まりが個人消費の悪化」としか記述されていないし、記事本文にも「将来に不安を抱えた消費者が貯蓄に励む可能性が高いためだ」などと脳天気なことを書いている。

 貯蓄に励むどころではない。金融機関はこれまでの野放図な貸し出しを絞る、住宅担保の自動車購入など米国の消費のからくり自体が逆転してしまう瀬戸際にあること。
 消費の縮小は様々な製品分野に広がり、好調とされている企業業績が急速に落ち込み、それが、設備投資分野にまで広がる。
 ところが、先進国の製品市場は伸びない。景気が良いと言われる新興国も自国の需要だけではなく先進国の市場への輸出に大きく依存しているから、先進国がおかしくなれば、そのうち新興国の市場もおかしくなってくる。それも目の前だろう。
 今好調な欧州経済も他人事ではいられなくなる。

 庶民は生活必需品があがれば、それ以外への支出を絞ろうとするのは当たり前。製品価格は原材料費の高騰を全て製品に転嫁することはできない。そうなると、原油高に苦しんでいる企業のコスト改善は限界が出る。
 消費者に近いところにいる企業は敏感だ。ウォールマートは商用車をハイブリッド化して燃費低減。米国の消費者は必需品を除き支出を絞る動きを顕在化しだした。
 米国新車販売台数は5ヶ月連続減少と減りだした。トヨタも米国で6%販売減。世界連結で9年ぶりに減収減益の見通しを発表。設備投資まで5パーセント削るという。
 もう、そろそろ、建前の資本主義ではなく、金にばかり目を向ける「米国型資本市場の誤謬」を正す時期に来ている。
 それをやらなければ、世界不況もあり得ることを忘れてはならない。ただ、各国政府が、足並みをそろえて見直しをするのは非常に難しいだろう。 そうこうしているうちに、「石油経済の終焉」は間違いなくやってくる。

 日本でも、影響は顕在化し始めている。
 特に国内市況商品など価格転嫁力の弱い製品を持つ企業がそうだ。水産物は漁船の燃料費、遠洋漁業などは冷凍庫の発電も石油。コストがかさんでも魚価は市況次第。あがれば消費が減退して下落する。
 農産物もハウス栽培など全く同じ構造だ。蒸気を使う企業も同じ。クリーニング業、製紙業、挙げれば多々ある。付加価値は抑えられる。
 日銀は生鮮食料品を除いたコア消費者物価指数というのが前年比でプラスになっているからデフレ脱却は近いなどと言い続けているが、「食料とエネルギーを除いたコアコア消費者物価指数」はマイナス。
 前に述べたかもしれないが、日本工作機械工業会が発表した2008年1月の受注総額確報値が前年同期横ばい、輸出は29ヶ月ぶりのマイナスになった。アジア向けも北米向けも二桁前後のマイナス。欧州向けのみが好調という状況だ。
つまり、設備投資も減速する兆候だ。
 スタグフレーションの兆しは既に出ている。

 金融不安が実態景気後退に移行しようとしているのに長期金利が反転してきている。銀行は長期プライムを.3パーセント上げると発表 5/83月の低下の修正だと言うが。
 2007年10-12月期国内総生産(GDP)速報のGDPデフレーターは前年同期比1.3%のマイナスで、これは前期よりマイナス幅が0.7%拡大している。 
 原油高による輸入物価上昇を国内物価に十分に転嫁できない、つまり企業の採算悪化を示していると見られる。単位労働コストも前年同期比1.8%のマイナス。

 マンション契約を見ても不動産経済研究所発表の2008年1月マンション市場動向で首都圏の契約率が52.7%、近畿圏が57.6%とひどい様になっている。これはバブル崩壊後の1991年8月以来の低水準という。
 これまで、マンション販売は「改正建築基準法」の影響で発売戸数が減ったのが問題だなどと言われてきたが販売戸数が減っているにもかかわらず契約率が強烈に落ち込んでいるというのはとうとうこれまでの住宅ミニバブルが日本でもはじけたことを示している。

 にもかかわらず政府も、日銀も動きは鈍い。
 個人減税廃止にもかかわらず、金利上昇を狙っていたような日銀は、新総裁になっても物価重視の今のスタンスを継続するように見える。
 政府も、減税廃止だけでなく、社会保障費抑制で雇用保険の国庫負担を廃止しようとしている。
 民主党もおかしい。道路特定財源でもめているが、道路特定財源は石油消費を押さえるためにも、環境問題のためにも税率は欧米並みの高率もおかしいとはいえない。
 問題は使い道だ。今更、道路に金を注ぎ込んでも経済効果はない。環境、生活不安を押さえるための福祉、脱石油技術の開発を促進する原資、長期金利が上がるのを押さえるための国債の減額。使い道は色々あって足りないくらいだ。

 脱石油経済、脱金融資本主義、脱土木国家といったビジョンを明確にして取り組まないとならないと思うが如何だろう。

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2008年2月15日 (金)

世界的不況到来の危機はまだ続く

日銀は生鮮食料品を除いたコア消費者物価指数というのが前年比でプラスになっているからデフレ脱却は近いなどと言い続けているが、「食料とエネルギーを除いたコアコア消費者物価指数」はマイナス。

2007年10-12月期国内総生産(GDP)速報のGDPデフレーターは前年同期比1.3%のマイナスで、これは前期よりマイナス幅が0.7%拡大している。原油高による輸入物価上昇を国内物価に十分に転嫁できない、つまり企業の採算悪化を示していると見られる。単位労働コストも前年同期比1.8%のマイナス。

マンション契約を見ても不動産経済研究所発表の2008年1月マンション市場動向で首都圏の契約率が52.7%、近畿圏が57.6%とひどい様になっている。これはバブル崩壊後の1991年8月以来の低水準という。これまで、マンション販売は「改正建築基準法」の影響で発売戸数が減ったのが問題だなどと言われてきたが販売戸数が減っているにもかかわらず契約率が強烈に落ち込んでいるというのはとうとうこれまでの住宅ミニバブルが日本でもはじけたことを示している。

つまり、石油と食料の世界的な市況上昇で、物価が上昇しているように見えているが、企業や消費者の手元に残る「付加価値」は依然マイナスという状況を示している。

2008年2月15日の日経は「米サブプライム問題波及の仕組み」という解説図を米国の景気対策法の成立解説コラムに載せているが、「金融商品」の世界だけの問題のような図になっている。金融商品だけの問題なら投資家だけの損失であり、世界各国政府が取り組む必要はない。問題は「米サブプライム問題」が、実体経済にどう波及するか、つまり世界不況の引き金になるかならないかという問題だという認識が欠けている。これについては「金融不安の高まりが個人消費の悪化」としか記述されていないし、記事本文にも「将来に不安を抱えた消費者が貯蓄に励む可能性が高いためだ」などと脳天気なことを書いている。

貯蓄に励むどころではない。金融機関はこれまでの野放図な貸し出しを絞る、住宅担保の自動車購入など米国の消費のからくり自体が逆転してしまう瀬戸際にあること。それは様々な製品分野に広がり、好調とされている企業業績が急速に落ち込み、それが、設備投資分野にまで広がる。それは今好調な欧州経済も他人事ではいられなくなる。

その兆候は日本でも出ている
日本工作機械工業会が発表した2008年1月の受超総額確報値が前年同期横ばい、輸出は29ヶ月ぶりのマイナスになった。アジア向けも北米向けも二桁前後のマイナス。欧州向けのみが好調という状況だ。
つまり、設備投資も減速する兆候だ。

不況になったら石油市況はある程度下落するが、金融商品と違い実需の裏付けがある石油では50ドル割れは望めない。
そうなると、原油高に苦しんでいる企業のコスト改善は限界が出る。
特に国内市況商品など価格転嫁力の弱い製品を持つ企業がそうだ。水産物は漁船の燃料費、遠洋漁業などは冷凍庫の発電も石油。コストがかさんでも魚価は市況次第。あがれば消費が減退して下落する。農産物もハウス栽培など全く同じ構造だ。蒸気を使う企業も同じ。クリーニング業、製紙業、挙げれば多々ある。付加価値は抑えられる。

1年以上前から「スタグフレーション」の可能性を指摘していたが、ここに来て現実の可能性として議論する人がぼちぼち出てきた。まだ、賛否両論だが、ようやく、スタグフレーションの危険性が認識されてきたようだ。

少しでも舵取りを間違えるとスタグフレーションは現実のものとなる。個人減税廃止にもかかわらず、金利上昇を狙っていたような日銀は総裁人事でニュースになっているが、新総裁が今のスタンスを継続するような馬鹿なら首がすげ変わっても危険は変わらない。

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2008年1月22日 (火)

今更に騒がれる株式市場下落、あと1年は不安定

 先週あたりから株式市場の下落について悲観論者が急増したようだ。強気の日経も悲観記事が踊る。

 しかし、その論拠としては、このコラムで予見していた以上のコメントはないようだ。又、株屋は市場見通しとしてこれまでの強気から一転して12000円台という相場見通しを出すものもようやくでてきた。

 今回の相場の急落も目先はそう続かないだろう。しかし、前にも述べたように一旦落ち着いても後一段の下げ場面は出てくるはずだ。今回の相場の下げを「サブプライムローン下げ」というような論調が多いが、客観的にはバブル崩壊に他ならない。もともとサブプライムローンの下げも米国の住宅市場が堅調なら起こらなかった。原因は、サブプライムローン米国住宅バブルの破裂であり、これによって金融資産の毀損が起こり、バブルによって膨らんでいた消費力余力の縮小が起こり始めている。

 この現象は日本の住宅市場でも同様に起こり始めている。サブプライムローンと大して変わらないリート市場も変調を来しているし、マンション契約率も下降に入っている。高額商品も百貨店統計などから縮小が始まってきた兆しが見られる。

 ヨーロッパも変調の兆しがある。

 強気の論者は米国市場が変調しても新興国市場が伸びているから影響は大きくならないというが、いくら伸びていても世界のGDPベースから見れば米国、ヨーロッパ、日本のGDPから見ればまだまだ小さい。

 素直に、バブルにより実力以上に膨らんでいた購買力が実力ベースに落ち着いてきた現象だと考えた方がまともだろう。そうすると、日本のバブル崩壊は10年の経済低迷/デフレを招いたし、まだ、日本は成長軌道に乗れていなかった。世界規模でこれが始まったと考えると、震源地の米国は人口の増加がまだ続くし、新興市場も成長期に入っているから、日本の経験ほどひどくはならないとしても、1年以内に成長軌道に戻るというのは期待薄。

 新興市場も、この状況なら中国やインドで現地市場に向けた基盤を築いた企業の業績はまずまずだが、しっかりした市場参入基盤を築けていない企業の業績は落ちる。選別が始まる可能性が高い。

 ただ、今回は日本のバブル崩壊よりやっかいな点もある。新興国の成長のために資源が高騰してきている点だ。つまり、デフレではなく、景気が低迷するのに基礎資材、食料の上昇が起こるという「スタグフレーション」に入る可能性が高いこと。景気が低下すれば資源は実需の急膨張は押さえられるが、金融市場から逃げ出した投機資金が資源に向かう動きはしばらくは続く。その間はスタグフレーションの様相を呈する。

 昔の南米以外は、世界的にはここ数十年、スタグフレーションの経験はない。舵取りを間違えるとやっかいなことになる。まずやるべきは、資源に向かう投機資金を規制することだが、選択的世界経済の統制なんてのは至難の業かもしれない。

 株式市場の動きには一喜一憂するのではなく、腹を据えて見守るべきだろう。ただ、恐慌にはならないとみている。

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2007年12月 5日 (水)

株式市場はまだ危ない

本日は日経ダウも128円ほど上がったらしい。これで落ち着いたという解説も出てくるだろう。

しかし、目先で判断しては危ない。株式市場には2段下げ、3段下げという言葉がある。株式市場が大きく下げたとき、一旦は反発した後、小幅な上げ下げを繰り返し、もう落ち着いたかのような踊り場を形成する。
それが本当に踊り場で戻してくる場合と、もう一段、大きく下げる場合に分かれる。下げる場合を2段下げ、3段下げという。

現在は米国のサブプライム問題に対する米国FRBの対応待ち、財務省の借りて救済策待ち。しかもどこかの大銀行にアラブの資本が入るといった金融市場の混乱がこれで止まるかもしれないという期待と良い策が出てこないかという不安で様子見といったところ。
日本では直接的な影響は少ないという安心感もある。

昨日は日経ではリートの特集付録まで付け、不動産証券は安心だといった提灯記事も出た。しかし本当に財務省の対策などで落ち着くだろうか。
前から言っているが、米国のエコノミストの一部もサブプライムの損失は不動産市場が下落すれば更に拡大する。もし、財務省の対策がローン金利を固定するとか、借り換え資金の供給とかいったものなら、サブプライム証券は予定し投資収益が上がらないことになって更に下げる。投機家の損失は更に拡大する。

日本のバブルの時を考えれば、証券にしろ、不動産価格にしろ上げ期待がなくなれば、どんな手を打っても下げは止まらない。どの程度の下げにとどめられるかというだけの効果しかでない。

日本のリートにしても同じ。日経の付録のように投資利回りが低下を続けることになれば下げに転じる。1兆円しか証券化されていない。不動産市場は40兆円でまだ市場は大きいなどという論理は馬鹿げている。証券を買うのは高い投資利回りが見込まれるという期待から。利回りが得られない可能性が高まれば誰が買うのか。

しかも、建設市場の停滞は建設確認が遅れているからという解説がまかり通っているが、既に、建設投資効果が見込めなくなるかもしれないと思うからこそ、建設確認を建て主も急がないという見方ができることを誰もいわない。

もし、今建設に着工しなければ、儲からないとなれば建て主はいろいろな場面で騒ぎ立てる。ところが、この問題については不動産関係者とエコノミストの声だけで建て主の悲鳴は聞かれないのはどうしてだろう。

つまり、日本の不動産市場も天井に近づいてきている。悪くするとバブルがはじけるかもしれないという虞が底流に出てきているのだ。
しかも7-9月期の法人の経常益が5年ぶりに減少した。
甘い観測は裏切られる可能性がある。

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2007年10月26日 (金)

サブプライムは金融問題ではない。実体経済の危機だ。

 米国のサブプライム問題で大本の米国だけでなく各地の株式市場が混乱している。

 この問題の原因は、サブプライムローンという信用力の低い人への貸し出しを貸し出した銀行がリスクを避けるために証券にして多数の投資家に販売するという金融手法をとったために、貸し倒れリスクが投資家に分散されて、影響が広がったためという解説があちこちで見られる。

 つまり、新しい金融手法が資本市場に与える影響への対応が不十分だったという論調だ。また、ローンを債券化したものに信用格付けをする格付け機関の審査が甘かったという声もある。

 そのため、今回、各国・EUなどの中央銀行が資本市場への資金供給枠を用意したから大丈夫。影響はこれ以上広がらないという論者と、いや、リスクが分散されているから、損失額がどこまで広がっているかが分からないから今の資金準備枠では不十分かもしれないのでまだ危ないという論者がいる。

 どちらにしてもサブプライム問題は金融市場の問題としていることに差はない。

 本当に、資本市場の混乱だけの問題なのだろうか。

 前回のブログでも言ったけれど、私はこの問題は投機資金による「住宅ミニバブル」が本質で、資本市場という池の中で論じるだけで済む問題だとは思えない。

 資本市場問題だと限っても、今の証券価格下落や証券の流通が滞ってしまうといった点で計算された「リスク金額」は何を根拠にして算出されたものか、よく分からない。資本市場・金融関係者の仲間内の勝手な仮定で算出した金額としかいえない代物だ。

 肝心の米国の住宅価格が下落した金額はどこまで含んでいるのか。バブルの程度によっては何割かの金額が吹っ飛んでしまう。現に日本のバブル崩壊は住宅価格が「半値、八掛け、二割引」にまで落ち込んだ。

 しかも、サブプライムローンという低所得者の購入した住宅価格の下落だけで済むはずがない。中流以上の所得の人が購入した住宅の価格だって連れて下落する。

 日本の場合は住宅だけでなく、オフィス価格もがたがたに下がった。米国が例外という話はない。

 しかも、このサブプライムローンを購入したのは投機資金のはず。だから、この問題が表立ったとたんに、いままで我が世の春を謳歌していたM&Aに回っていた投機資金も投資に慎重になって、成立間近のM&Aが従来のように金が集まらなくてポシャッてしまったというのが報道されている。三洋電機などがその被害者だ。

 投機資金は逃げ足が速い。ファンドなどといっても集める金の大半は投資資金というより金余りが生んだ投機資金。サブプライム証券を買ったのもファンドが大半。すぐに逃げ出す。

 そうなると、銀行も住宅融資を手控えなくてはならない。案件の選別に始まって、行き着くところ住宅融資が縮む。それが更に、住宅価格の下落を生む。これがオフィス価格の下落にまで波及することもあり得る。そうなると、サブプライム証券は紙屑とは言わないが今言われているより遙かに大きな金額リスクになる。

  このケースに発展するかどうかの瀬戸際にあるのが米国。どこまで悪循環に陥るかは読めないが、住宅価格下落は実体経済に悪影響が出るのは間違いない。

 先日は、ナスダックという先端企業が多い証券取引所の方が、ニューヨーク証券取引所よりも好調だった。情報産業は住宅価格の下落の影響を受けにくいというのがその理由らしいが、これは証券関係者の甘い見通し。

 そんなはずはない。住宅市場が不調になれば、住宅の新規購入や移動に伴う家財道具や電気製品などの購入も停滞する。そうなれば、関係する企業のIT投資だって落ち込んでいく。

 経済界解説屋の甘い言葉には注意、注意。

 そんな中でも総裁引退前に金利を上げて体面を保ちたいと執念を燃やす日銀という困った集団が日本には存在する。

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2007年8月17日 (金)

環境対策はエネルギーシフト、石油経済の終焉 1

 環境問題、特に温暖化ガスの排出削減が取り上げられない日はない。

 昨日、平成19年8月16日(木)は史上最高気温を更新したという話と、株式市場込の世界連鎖暴落が各紙面を占めたようだ。

 しかし、温暖化対策となると日本政府はお寒い。
 参院選に惨敗した首相ができる道筋もないままに京都議定書の次の目標(ポスト京都議定書の目標)として二酸化炭素排出量半減などを海外で臆面もなく発表したり、来年の「洞爺湖サミット」でも売り込もうとしているが。

 ところが、日本政府は本来手をつけなければならない技術開発による対応は後回しになり、とにかく京都議定書のクリアのために認められた対策ばかりに躍起となっている。
 つまり、企業に排出量枠を押しつけ、排出権取引を導入するなどあの手この手の弥縫策の羅列である。
 政策的には既存技術の延長の分野である省エネ対策の強化や車の燃費改善についても欧米追随の手しか打ってこなかった。

   しかし、既存技術の延長では温暖化ガスの排出は止まらない。抵抗は避けられず、対策は根本的には進まない。

 本来なら運輸、輸送部門の排出削減には公共機関の利用やバイモーダルなどの手段により、自動車の利用を減らすことが第一に考えなければならないはずだが、環境意識が高い欧州でのアンケートでも自動車の利用を減らす考えはないという人が多いという結果が出ている。

 そんな中、バイオエタノール燃料が注目を浴びている。日本でも最近になって環境省が導入に積極的になっている。
 しかしバイオエタノールには大きな問題がある。それは今の技術レベルではトウモロコシやサトウキビなどの食料、飼料として需要の大きいものから作るしかない事である。

 日本のように倉庫に積み上がり続けバイオ燃料開発に対する予算の5倍以上の金を食って財政を圧迫し続けている外米を燃料にするならともかく、中国などの中進国の発展で需要が拡大し続けている飼料を使うために、バイオエタノールを増やせば食料費が上がるという悪循環に陥ってしまう。

 それにもかかわらず、日本政府はバイオエタノールを普及するためにバイオエタノールを混合した混合ガソリンのガソリン税をバイオエタノール分だけ減税する検討に入っている。しかもそのバイオエタノールは輸入に頼れば食料価格高騰に荷担することになるにもかかわらず、輸入に頼るというのである。

 本筋なら日本の国内で余剰なったり、自給できるものから作るのが責任であろうに。
如何にメンツを保つために達成不可能が分かっているにもかかわらずに無理矢理結んだ「京都議定書」の後始末に苦しんでいるとはいえ、その場しのぎの感が強い。

 そんな中、8月3日には神戸大学で穀物の葉、茎など従来廃棄されていた材料からバイオエタノールを高効率で生産する技術を開発した、8月14日日経にバイオブタノールを成分とする「バイオディーゼル燃料」を雑草や木くず、稲わらなどから作り出す技術を地球環境産業技術研究機構が開発したという記事が出た。

 これまで食料からエタノールを作り出す技術、廃ヤシ油、廃天ぷら油からブタノールを作り出す技術はあったが原料が限られていた。これをこれまで捨てられていたり邪魔者だった植物を原料にできるようにしたことで、バイオブタノールは3年後には工業生産に持って行けそうだということで、囲み記事ではあるが環境技術、エネルギー技術にとっては大きな意味を持つ。

 更に、根本的な温暖化ガス対策としては発電所や製鉄所などで大量排出される排気ガス中のCO2 を回収して再利用可能な物質を作り出す技術などの開発も有望な手段となる。

 つまり、既存技術の延長ではなく、新技術の開発と普及が温暖化対策には必要なのだ。
 新技術の必要性の底流には「技術変遷」という側面もある。これについても追々、書いていくことにしたい。

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2007年8月16日 (木)

サブプライム問題。住宅バブルは世界各地で連鎖破裂する

 欧米で個人向け住宅融資(サブプライム)の不安が市場を揺るがせている。8月13日に欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)が短期金融市場に資金供給をしてやや落ち着きを取り戻し、株式市場も急落続きがやや反発に転じた。

  元々、米国の住宅需要は資産の値上がりで転売してもおつりが来るという資産の値上がりを見込んできた「ミニバブル」の要素が強まってきた。

 欧州も同じである。日本でもRIET等という不動産投信は良い投資物件が減り、利益率が低下し続けているにもかかわらず、大都市圏はまだまだ上がると口にしてきた。
 資産の値上がり狙いで借金を重ねる「拡大循環」はいつかはじけるのは避けられないことは分かり切っている。

 日本の過去のバブルとは違うと世界各国のエコノミストや投機家は言い続けてきた。
 ミニであろうと本格バブルであろうとはじければそれまでの買うから上がる、上がるから買うで続いてきた「信用拡大」は、逆回転してしまう。売れないから下がる。持ちきれないから売ろうとする。売ろうとするから更に下がるという「信用収縮」」である。

 これ逆転は一気には起こらない。下げに入っても落ち着けば、強気が続いている間は、また持ち直して戻す。これが何度か続き、市場が分別を取り戻してくると、弱気が多くなってくる。

 そしていよいよ逆回転に入ってくる。その逆回転の深さが日本のバブル崩壊ほどにはならなくてもある程度は下げが続くだろう。どうやら、世界的ミニバブルは頂点に達してきたと見るべきだろう。

 ここまでを8月14日に書いたのだが、この予想は実現しそうだ。その証拠に8月15日はまた世界連鎖大幅株式続落だった。エコノミストなどは投資ファンドの問題で実体経済とは別などとのコメントをしているが日本のバブルも金融問題だと当時はいわれながら破裂すれば実体経済の深刻な不況になってしまったことを忘れているのではないだろうか。

日銀などは景気実態は強いとして利上げを探り続けているが経済屋さんは金融論に焦点を当て過ぎて実態との関係を無視しがち。ウォールマートの業績見通しの方がよほどしっかりしていると思える。
皆さんはどう考えますか。

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2007年7月31日 (火)

参院選は民主の勝利ではない。自民の惨敗だ

今回の参院選は予想通りの結果になった。阿部氏は憮然とした顔で続投を表明。民主は顔も弛んでいる。しかし、今回の結果は、阿部氏の政治姿勢に対して、同時に自民の推し進めてきた政策に対して国民が嫌気を指してきたことからきている。決して、民主の政策を支持しているわけではないことを忘れるとせっかくの党勢伸張も続かなくなる。

今回の参院選の結果は、年金問題と閣僚不祥事が招いたと報道各社はいう。しかし、出してきた年金に対する対応策も、自民、民社でそれほど差があるわけではない。事務所費問題は民主にもある。逆にないのは今回せっかくの自民批判の波に取り残されたその他野党だろう。

ではなぜ、民主に票が流れたのか。これは、単なる自民批判ではなく、自民の政策をこのまま進めるのに具体的に歯止めをかけたいという心理が働いたのではないだろうか。その他野党が増えても影響力は限定される。民主なら対抗勢力になるという2大正当性への期待も底流にあったろう。

年金にしても事務所費にしても、閣僚不適切発言にしても全ては惨敗の「真の原因」ではないと思うがいかがだろう。これらはきっかけでこのままじゃあどうにもならないという国民の不満がなければこれほどの結果を招くものではなかったろう。

では何が「真の原因」なのだろうか。一つにはこれまで自民が強かった地方で敗戦が多くなったこと。これも、小澤氏の農業補助提言が利いたというよりも地方の疲弊が一つの原因だったといえるのではないか。景気がいいなどと報道されるがいいのは大企業、それも輸出型と資源型の大企業だけ。しかもそれは大半の下請けにさえ恩恵が回らず、まして、地方には何の恩恵も与えていない。

景気がよくなっているなんてのは嘘だというのが大半の人の声だろう。百貨店統計を見れば一目瞭然だろう。大都市型百貨店でもたいした業績を上げていない。まして地方百貨店は低落が続いている。スーパーも伸び悩み。ディスカウントショップの方が景気がいい。これは庶民は好況の恩恵を受けていないということ。

なのに定率減税は廃止し、消費税論議に入ろうとする。しかも、海外で儲けを国内に還元せず、最低限の雇用像ですまそうとし、非正規雇用を当たり前のものとする「一部大企業」向けの減税を優先しようとする。それで、庶民を無視していないといえるのか。というのが根底にある。「生活優先」の民主のキャッチフレーズもここにフィットしたといえるのではないか。

さらに、二代続く農相の不明朗会計をはじめとして身内をかばうとしかとれない阿部政権の姿勢に「実行します」などのキャッチフレーズは国民には空々しく聞こえただろう。

しかも、小泉時代は福井氏に率いられる日銀の金利政策にももの申していたのが阿部政権では馴れ合いになっている。金利を上げて喜ぶのは資産を持っているものだけ。金を持っているのは一部だけ。ネットバブルもライブドアではじけたし、庶民の手を出せる株では儲からず。M&Aなどどこの話だ。その金を低利で回してくれ。そんな連中から税を取ればいいんじゃないか。何を庶民の懐ばかりを狙うんだというのもあるだろう。

唯一我慢してきたのは改革実行という小泉のキャッチフレーズに一筋の希望を見いだしてきたのが、道路はだめ、郵政はクロネコヤマトなどに不当条件で勝とうとする。社会保険庁では盗人に追い銭で分離する。官僚は切らない。逃げ道の多い天下り防止で官僚のいいようにされている。これで改革継続というのか。というのもやはりあるだろう。

つまり、

1.大企業優遇策の見直し。株屋型投資家への大幅増税。庶民減税の復活

2.中央省庁のリストラの目に見える継続。地方への税配分の見直し。但し道路新設はのぞき、メンテナンスに力を入れる。農業関税は下げつつ、農業補助金などの検討。

3.官僚の絞り込み。共済、恩給の見直し。官僚登用制度の抜本改革。正規雇用拡大支援策の実施

4.科学技術の振興、エネルギーの獲得・新エネルギーの振興。ITなどは民間に任せ、絵空事でない日本の将来へのプロジェクトに金を注ぐ。生めよ増やせよへの支援策の強化

といったことも民主は考えてはいかがだろうか。

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2007年7月19日 (木)

東電ばかりに押しつけるか、政府の責任はなぜ問われない

新潟の地震被害は痛ましいものがある。私も阪神大震災で実家は大丈夫かと飛んでいき交通網の分断と崩れ去った街に唖然とした。

ただ、その中で驚いたのが、ガソリンスタンドがほとんど被害を受けていなかったことだ。これは、国の安全規制が幸いしたのだと思った。何せ、高速道路が崩れ落ちた目の前のスタンドが綺麗なものだったのだからそれだけの強度を持って造られたのだろう。

今回は原発が黒煙を上げて報道も東電を避難する論調しきりだ。確かに安全対策不足といわれれば一ト言もないだろう。

しかし、原発は国の規制がもっとも厳しいものの一つだ。なのに東電の管理や安全対策を非難するニュースは流れるが、監督官庁の管理の甘さを非難する声は流れない。

安全対策の水準は国が認可し、県も市町村も合意したものだったはず。ところが、首相も自分の配下の役所の基準設定の甘さは棚に上げて東電は何をやっているのだという。市長も抜本対策が出なければ発電は再開させないという。自分の前任以前の問題だから責任はないというのか。国として、市町村としての責任を認めた上で今後の対応を見直すというのが首長のとる態度ではないか。

同日の宮崎県の裏金問題でのそのまんま東知事の対応の方がよほどまともではないのかと言いたくなる。

阿部首相は実行できることを言うのが責任ある政府という。馬鹿を言うなと冷やかしたくなる。環境対策で二酸化炭素排出量を中期的に半減させるなど何の根拠も無しに国際的に発言して手柄顔をするのは責任ある政府なのだろうか。こんな政府、首相に評論家も、マスコミも何も言わない。本当にこのままでよいと国民は思っていると馬鹿にされているのだろうか。

といっても東電に問題はないとは言わない。放射性廃液のドラム缶が大量に転がった。廃液が流れ出したのもあった。その保管場所の映像を見た方も多いだろう。あの映像をどう思われただろう。ドラム缶が縦に積み重ねられている。危険産廃は転がらないように積み重ねない。さらにチェーンがけするという位は少し心得がある人ならやらせる。それこそ安全管理の意識の低さを示す映像だった。ここにも監督官庁の立ち入りはあったはず。指摘はしなかったのだろうか。コンクリートのはこの中だからいいと思ったのだろうか。ならコンクリートには防水塗料は十分塗らせていたのだろうか。映像からは怪しい。ここでも、東電だけでなく監督側の審査能力の見直しを規制強化の前にやるという論議が必要なのじゃないだろうか。

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2006年7月22日 (土)

ユニクロの低価格ブランド開発と大型M&Aに見るエコノミストの危うさ

 06/7/20のワールドビジネスサテライトを見ていて気になった。
その日のトピックに大型M&Aの時代到来といった解説があった。新たな時代に入ったと鉄鋼の「ミタル」社を初めとする何兆という大型のM&A、ルノーとGMの提携など業界再編の動きが活発になってきた、これからはこのようなM&Aなどをを視野に入れなければ時代において行かれるといった内容だった。
時代の動きのレポートは良いが、これが生き残りに必要だと言った一方的な論調に聞こえだが、これは危うい。

 このトピックとは別に「ユニクロ」が低価格ブランドを開発するというニュースも流れた。ユニクロに関しては高級化の流れが出てくる中、あえて低価格ブランドを開発するユニクロの戦略を逆張りと評し、成功するのだろうかと、やや疑問を呈するようなコメントが加えられた。

 これら2つのコメントは時代を表層的にとらえすぎている。大型M&Aの時代到来というのは結果であり、これを招いたのは資金が集まりやすくなったことに一因があるというのは良い。ただ、なぜ資金が集まりやすなったのかといえば、新しく成長していく産業分野が見えなくなって投資機会が少なくなってきた。設備投資も企業のキャッシュフローを上回るほどの勢いは無くなってきたという「成熟時代」にいることに過ぎなんじゃないだろうか。

 だから儲けられそうな話があれば投資先を求めて余っている金が集中しやすくなっているだけのこと。M&Aをやれば企業が成功するからというわけではない。ワールドビジネスサテライトでは過去のAT&Tなどの大型M&Aと違う、成功の確率は高まっているし、M&Aは企業生き残りの鍵になるといったことを臭わせていたが、こんな話を鵜呑みにすると危うい。

 M&Aは時代がどうであれ、規模の経済が有利になる場合か、新技術や販路など成長条件を手早く手に入れることが有利になる場合に成功するし、そうでなければ失敗する。鉄鋼業のミタルの場合は、これまでは安い共産圏の設備を買いたたき、効率化で小さな負担で売り上げ取り得機を確保してくるというモデルで成長したのじゃないだろうか。更に、買収により、その地域の市場占有率を上げ価格支配力を高めることで利益を確実にしてきた。

 今回の場合は先進国で、競合も力を残している。規模が優位に働くとは100%いえるものではない。大きな成長市場である中国などは自国製鉄業が雨後の竹の子のように出てきて、最終的には一般鋼は自国生産力が高まってくる。規模の経済は近々効かなくなってくる。しかも資源の制約が強まり、バイイングパワーが有効になるかも不明な点がある。結局高級鋼が利益の源泉になっていくだろうがこれは規模ではなく技術の問題。

 つまり、今回のM&Aが成功する保証はないし、金利が反転してくれば資金の流れに変化も生じてくる。金が、事業より石油や鉄鉱石などの原料に回っていくこともある。
では金があるから個人消費は高級化に向かうかと言えば、貧富の差が広がるのは米国やフランスを見れば明らか。高級品に向かうのは選択的にならざるを得ない。つまり、ユニクロの戦略のように低価格市場は押さえるというのは市場の底流を見据えれば正しい選択である可能性は高い。

 エコノミストが、表面的に見える現象から解説するのを鵜呑みにするのは危ないと考えるが如何だろう。

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地球温暖化についての無責任なマスコミ論評

  先日来の大雨で各地で死者・行方不明者が出ている。痛ましいことで、災害対策が謳われながら毎年犠牲者が出る。自然の怖さについては畏れつつ、地道に取り組んでいくしかないのだろう。
それでも警戒警報などの対策は進んできているように思える。
しかし、これを報道するマスコミでは無責任な報道もあるのが腹が立つ。大衆受けする切り口も良いが、責任も必要だろう。

  ニュースステーションでこの大雨と「地球温暖化」に関係があるかのような取り上げ方をされた。その根拠として近数年の梅雨末期の雨量と死者数の表をわざわざ大写しにしているが、これこそ都合のよいデータを取り上げて自分の言いたいことが正しいんだと視聴者を誘導する典型的手法だ。

   死者などは大雨の地域がたまたま人の多いところ、軟弱地盤のところに当たれば変動する。これは、災害の予防対策の進度の問題で、地球温暖化とは関係のないデータ。
更に、雨量も昨年や一昨年は記録的な猛暑。梅雨の雨量だって何の比較にもならない。出すのなら、全国的な雨量の分布の変化、過去100年くらいの中での変化を説明すべきだろう。

 気候変動の幅が大きくなっているといっても10年、20年などは地球の気候変動からは一瞬のこと。きちんとしたデータを適切な期間で見た上で出すか、地球温暖化論を採らない意見も出すかするのがマスコミの責任。

 近頃のマスコミは無責任に世論を誘導すると批判が大きいが、少なくともニュース報道だけでも責任を持つべきだろう。面白ければいいというのは、先の勝つ見込みが端からないのによいしょして失望を招いたサッカーワールドカップ報道だけでたくさんじゃないかな。

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2006年7月17日 (月)

ゼロ金利は解除されたが、ホントにデフレは終わったのか

 日銀はとうとう「ゼロ金利解除」を決めた。皆さんはこの判断をどう評価されますか。日経ビジネスでは脱デフレという特集を組むと共に「ゼロ金利解除、狂騒はじまる」という連載を始めたようだ。

 しかし、デフレは終わったのだろうか。

 まず、日銀の判断だが、これは政策として正当な審議の結果と言うが、私など斜めから見る者からすると、ゼロ金利を解除したいが先にあってデフレの判断にはバイアスがかかっているように見える。

 更に、村上ファンドに関して福井総裁のスキャンダル(といっていいだろう)による日銀への信頼感の失墜をカバーするという心理が判断を早めたように思える。

 私は経済屋ではないので、経済学の教科書の定義に言うデフレはともかく、実質的にはは終わっていないと判断する。

 物価が上昇に転じたという。ティッシュペーパーなど消費者に近いところでも値戻しの動きは確かに出ている。しかし、これは国内需要が盛り上がっての値戻しではない。需要は縮小している。一部高額商品が動いていると言うが、これはたんにデフレが安定状態に入ったということで成長軌道に戻ったということを意味しているのじゃあない。

 中国など中進国の急速な需要増大で世界的には原料に逼迫感が出てきているのが、根本原因。つまり素材インフレかつ国際市況インフレ。先進国の需要は増加していない。

 デフレ論議もどこかの教科書の孫引きではなく、先進国と中進国を分けて考えなければホントのところは見えてこない。デフレという言葉が問題なのではなく、金利を上げて押さえ込まなければならないインフレが見えるのかということが重要。素材が上がれば順次川下製品も上がらざるを得ないが、この動きを金利で押さえることができるのか。

 冗談じゃない。これは金融現象ではなく、物理現象。下手にブレーキをかければ「スタグフレーション」というのが起こる。企業業績はこの「日銀の動き」で下手を打てば頭打ちの公算が高まる。それを予見すれば株ももみ合いから低迷に陥る。

 急にはこんな事は起こらないだろうし、株式市場は「あく抜け」とはやして少しは上がるかもしれないが、そうそう長続きしないだろう。経済にボディブローのように効いてくる判断するが、皆さんはどう思われます。

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2006年6月10日 (土)

強い企業家は株式市場から離れる

 株式市場は引き続き低落を続けている。金曜日は少し戻ったが。日経平均も200日移動平均を下回った。通常こんなクロスが起こったときは相場の転換を示すことが多い。反発するか、長期低迷に入るかだが、私もこの頃はチャートをいちいち見ていないので正確にはいえないが低迷の方向に入る公算が高いように思える。

 そんな折も折、「すかいらーく」が国内最大のMBO(経営者による企業買収)で非上場を目指す方針を固めたとのニュースが流れた。

 以前コメントした「ワールド」「ポッカ」などに続く動きだ。本来なら大衆を相手にするこの種の企業は、消費者に株を持っていただき優待などでご愛顧を得て支持を広げることも上場の狙いにはあったはずなのだ。ところが続々MBOで株式市場から離れていく。 それは株主主権主義を唱えながら株主の義務より権利を主張するふさわしくない株主が市場を席巻している状況に、(雇われ経営者意識の抜けない経営者ではなく、経営意識の高い)企業家が嫌気を指しているということだ。

 それなのに、日本経済新聞などは一面の囲み記事に米国流の「市場主義」「法化社会」礼賛もしくは擁護にこだわっている。
 「物言う投資家」は当面の利益が優先し、投下資金の安全性、収益、市場で流行している話題性のある戦略に目が向き、しっかりとした長期的な「経営戦略」を評価する能力は低い。彼らに束縛されると、戦略に一貫性がなくなり、思い切った手は打てず長期的な企業力を損なうことになることが多い。

 捕まった「村上ファンド」は資産余力があれば活用せよというのが決めぜりふだったが結局はうっぱらって株主に回せという「グリーンメーラー」のやり口にしか過ぎなかった。 企業は順調なときばかりではない。事業構造を変える、つまり今の事業を整理して、次の事業主力を交代させようなんてしようと思えば一時的に売り上げや利益が吹っ飛ぶ。そんなのはいつ必要になるかはわからない。資金、資産の余裕がなければそんなときに手が打ちようがない。

 まともな経営者なら経営に安全率を持とうとするのは当然じゃないか。これで、経営者がたるんでいると言われるのはまともな経営者なら腹に据えかねるだろう。だいたい、天下のトヨタなどでも長く無借金経営を続け、トヨタ銀行と呼ばれていた。その間も小さなコストダンウンを続け世界に冠たる生産技術を築き上げた。

 それがハイブリッドなどの環境技術にカネを注ぎ、海外に工場を展開できる自力を付けることになったのじゃないか。
 もし、ここで銀行や、投資ファンドの言うような戦略をとっていれば負債が膨らみ事業展開の余力が生まれなかったはずだ。

 出来高が多ければいい市場といえるのか。グリーンメーラー的ファンドやデイトレーダーが礼賛される株式市場で、真に将来性のある企業が育成できるだろうか。事業より資金が増えることを目指すベンチャーならともかく、事業の継続を見据えた経営者にすれば増資なり、直接資金調達してもすぐに売っぱらわれて誰の手に株が渡るかわからないなら危なくてやれない。

 「法化社会」というのも法の範囲なら何をやっても良い、問題なら穴を埋めれろというのが「順法」だという社会ならそれは社会の発展を促すものではない。
 欧米は「法は神の下での契約」という一神教の世界の規律がある。東洋は多神教、無神教の世界で「儒教」その他の社会規範が規律を保っている。つまり、「順法」ではなく「遵法」が社会の健全な発展を促す。「遵法」を「順法」とはき違えた「法化社会」には未来はない。

    市場主義が大きな顔をしていれば「有能な企業家」は逃げ出し続けて、市場に残るのは魅力のない企業ばかりになりかねない。

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2006年6月 1日 (木)

政府発表の景気は良いが、株式市場は軟調。どっちが正しいの

 株式市場は軟調な地合が続いている。新興市場が特に悪い。1月程度遅れたが、どうやら春先に私が予想したとおりになってきた。嘘つきにならずにすんだようだ。

 これに対して、政府発表の経済指標や見通しは景気が良いし、経済評論家も明るい見通しを述べ立てている。29日の日経景気討論会では「いざなぎ越え」確実出席者は強気の発言。6/1日には景気動向指数-一致指数がバブル期の景気回復期間と並んだとの発表。

 じゃあ、株式市場の軟調はアジア通貨売りなど投資家のポジション調整による一時的落ち込みで、また上昇トレンドに戻ると見て良いのだろうか。

 今回の株式市場の軟調は株価は海外投資家で動く。国内投資家は流れに乗るだけで市場の上下を増幅はしても創り出すレベルには至っていないということだろう。

 とすれば海外投資家がどう動くかが重要な要素。動きを大きくつかむには、日本の国内景気と、海外景気の両方を考えることが必要だろう。

 海外では米国の住宅市場で「中古の値上がり率」が小さくなってきている。中古市場が上昇することで米国消費者の資産が膨らみ、消費余力が生まれていた面がある。そこに不安が出てきたのだ。更に、石油、ガソリンの値はまず下がるまい。堅調といわれてきた米国内消費だが、消費性向落ち込むかどうかはともかく経済成長率は下がる。物価は上がる。米国での企業収益も低下の方向に向かうだろう。

 日本は国内消費ではなく企業業績は外需に支えられて上昇してきた。設備投資も海外市場狙い。しかも、景気がいい企業は資源関係とデジタルと自動車関係。資源関係は世界的に市場成長率が抑えられたときコスト上昇をこれまでのように価格に転嫁し売り上げも、利益も伸ばすといったことが続けられるか疑問符がついてくる。デジタルは価格は低下を続けて、粗っぽく言えば数量増が利益を生み出すという構造。数量は伸びても予想伸び率よりも低くなればもろに利益に響いてくる。

 大きく崩れないとしても景気は今がピーク。不況はおそってこなくても株式市場は増分に反応するのが常。とするとこれまでの上昇は期待できない。と見るがいかがだろうか。

 それより怖いのは、経済本体にどの程度の変調が出てくるかだ。

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«財政制度等審議会の恣意的試算を誰が信用するのか