サブプライムは金融問題ではない。実体経済の危機だ。
米国のサブプライム問題で大本の米国だけでなく各地の株式市場が混乱している。
この問題の原因は、サブプライムローンという信用力の低い人への貸し出しを貸し出した銀行がリスクを避けるために証券にして多数の投資家に販売するという金融手法をとったために、貸し倒れリスクが投資家に分散されて、影響が広がったためという解説があちこちで見られる。
つまり、新しい金融手法が資本市場に与える影響への対応が不十分だったという論調だ。また、ローンを債券化したものに信用格付けをする格付け機関の審査が甘かったという声もある。
そのため、今回、各国・EUなどの中央銀行が資本市場への資金供給枠を用意したから大丈夫。影響はこれ以上広がらないという論者と、いや、リスクが分散されているから、損失額がどこまで広がっているかが分からないから今の資金準備枠では不十分かもしれないのでまだ危ないという論者がいる。
どちらにしてもサブプライム問題は金融市場の問題としていることに差はない。
本当に、資本市場の混乱だけの問題なのだろうか。
前回のブログでも言ったけれど、私はこの問題は投機資金による「住宅ミニバブル」が本質で、資本市場という池の中で論じるだけで済む問題だとは思えない。
資本市場問題だと限っても、今の証券価格下落や証券の流通が滞ってしまうといった点で計算された「リスク金額」は何を根拠にして算出されたものか、よく分からない。資本市場・金融関係者の仲間内の勝手な仮定で算出した金額としかいえない代物だ。
肝心の米国の住宅価格が下落した金額はどこまで含んでいるのか。バブルの程度によっては何割かの金額が吹っ飛んでしまう。現に日本のバブル崩壊は住宅価格が「半値、八掛け、二割引」にまで落ち込んだ。
しかも、サブプライムローンという低所得者の購入した住宅価格の下落だけで済むはずがない。中流以上の所得の人が購入した住宅の価格だって連れて下落する。
日本の場合は住宅だけでなく、オフィス価格もがたがたに下がった。米国が例外という話はない。
しかも、このサブプライムローンを購入したのは投機資金のはず。だから、この問題が表立ったとたんに、いままで我が世の春を謳歌していたM&Aに回っていた投機資金も投資に慎重になって、成立間近のM&Aが従来のように金が集まらなくてポシャッてしまったというのが報道されている。三洋電機などがその被害者だ。
投機資金は逃げ足が速い。ファンドなどといっても集める金の大半は投資資金というより金余りが生んだ投機資金。サブプライム証券を買ったのもファンドが大半。すぐに逃げ出す。
そうなると、銀行も住宅融資を手控えなくてはならない。案件の選別に始まって、行き着くところ住宅融資が縮む。それが更に、住宅価格の下落を生む。これがオフィス価格の下落にまで波及することもあり得る。そうなると、サブプライム証券は紙屑とは言わないが今言われているより遙かに大きな金額リスクになる。
このケースに発展するかどうかの瀬戸際にあるのが米国。どこまで悪循環に陥るかは読めないが、住宅価格下落は実体経済に悪影響が出るのは間違いない。
先日は、ナスダックという先端企業が多い証券取引所の方が、ニューヨーク証券取引所よりも好調だった。情報産業は住宅価格の下落の影響を受けにくいというのがその理由らしいが、これは証券関係者の甘い見通し。
そんなはずはない。住宅市場が不調になれば、住宅の新規購入や移動に伴う家財道具や電気製品などの購入も停滞する。そうなれば、関係する企業のIT投資だって落ち込んでいく。
経済界解説屋の甘い言葉には注意、注意。
そんな中でも総裁引退前に金利を上げて体面を保ちたいと執念を燃やす日銀という困った集団が日本には存在する。


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